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正しい情報を
1998年(平成10年)12月18日(金曜日) 毎日新聞より抜粋
「正しい情報を」
近視矯正手術の一つの角膜放射状切開術(RK)は、角膜に適切な切れ込みを入れる。
「切れ込みを1ミリ長くしただけで、手術は失敗に近づく」と指摘するのは、参宮橋アイクリニック
(東京都品川区)の奥山公道院長。
以下、損害賠償に敗訴した問題の医院の調査結果等。
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日付 |
メディア名 |
会社 |
ページ |
執筆 |
内 容 |
1998.11 |
メディカル朝日 |
朝日新聞社 |
72 |
奥山 |
エキシマレーザーによる角膜屈折手術 |
1998.10 |
日本外科系 連合学会誌 |
- |
897 |
奥山 |
新しい眼科 エキシマレーザー手術 |
1998. 6 |
永い夜明け前 |
近代文芸社 |
259 |
一志徹・船瀬 |
週刊金曜日を読んで |
1998. 4.15 |
裏モノの本 |
三才ブックス |
189 |
安宅誠 |
ロシア生まれの視力矯正術を受けた |
近視矯正手術は本当に危険なのだろうか?
1997年12月5日「通販生活」冬号
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推進派
「欧米ではすでに日常化した手術法。
500万人以上が受けています。」
奥山 公道 さん
参宮橋アイクリニック五反田
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私は、屈折(視力)矯正手術を世界に広めたロシアのフィヨドロフ教授に学び、自身もRK手術を受けました。
メガネの煩わしさも、術後の解放感もわかるから、患者の側にたって話ができます。
はっきりいいます。屈折矯正手術はすばらしい技術です。
屈折矯正手術に対して反対あるいは慎重派の人たちが、大学でレーザー(PRK)の治験をしました。
このような手術は必要ないんじゃないか、メガネやコンタクトがあるのに、手術をしてまで近視を治さなければ
いけないのかと主張していた人たちが治験をしているわけです。
「危険だ。近視は病気じゃないから手術しない方がいい」といっていたのに、180度意見を変えて治験をはじめ
たのは、世界の流れを無視するわけにいかないからでしょう。でも、自分や家族は受けたくない、自分ではメガ
ネをかけたまま、治験のボランティアを募るというのはモラルの問題だけでなく、治験を進める方法として正し
いのでしょうか。第一、そんなに危険なら、治験などやるべきじゃないということにも結びつきませんか。
近視は病気ではないという主張がありますが、補助道具を使わないと生活に支障をきたすような強度の近視は、
病気だと思います。でもどんなに強度でも、すべての人が手術を受けられるわけではありません。視力がある程
度安定する18歳以上が望ましいし、他に病気を持っていないことが前提です。当然、手術の効果が予測できない
場合はできません。
成功率の高い手術といえますが、どんな機械を使っても100%の成功率は期待できません。相手は人間という生
体なのですから。ただし、危険度からいえば、手術よりもコンタクトレンズによる失明率の方がずっと高いので
す。
私がこの手術法を日本に持ってきた14年前から、反対派からのバッシングがありました。屈折矯正手術に必要な
日本製の機械は、安全性が認められてなかったので、海外で認可を受けた機械を取り寄せて手術を行なっていま
した。それを知って、「安全性を確かめられていないものを使うとはけしからん」というのです。私が使ってい
た機械は、きちんと安全性が承認されているものなのに、です。
このようなことで患者に恐怖心を植え込み、手術を受けるチャンスを摘んでしまうのは犯罪に近いと思います。
その一方で機械の安全性を確かめるために患者さんに治験をやっているのです。メガネをかけている自分は受け
ずに・・・・。これは非常に重大な問題だと思います。
日本の問題は、屈折矯正専門医がいないということです。眼科医でもこの手術を行なっていなければ、どういう
ものか理解できません。これまでの角膜の専門医は、角膜移植が専門でした。屈折矯正手術を考える人はいなか
ったのです。
手術そのものは技術さえあれば簡単に済みます。RKなら片眼約15分、PRKなら約1分です。いずれも眼科のライ
センスを持っていて、技術をしっかり学んできた医師を選ぶことが大切です。どこで学んだか、何年やっている
か、何例執刀しているか、バックアップする医療機関があるかをきちんと確認したいですね。また、この手術を
自分でも受けている医者の方が信頼できると思います。分厚いメガネをかけた医師が、患者には手術をすすめる
のは変だと思うのです。
手術後、細菌による感染症、合併症を起こす可能性はありますが、医師の指示通りにすればまず心配ありませ
ん。近視が残る、遠視になった、乱視が出るなどの矯正エラーもたまにありますが、再手術で補正できます。
PRKはキズが少ない分、元に戻しやすいので、ファーストチョイスではPRKをすすめています。
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慎重派
「病気でない目を手術するなら、
成功率100%にならないと」
増田 寛次郎 さん
虎ノ門増田眼科
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私が東京大学医学部眼科に在籍していた3年前、レーザーによる屈折矯正手術(PRK)の治験を行い、機械と技術
の安全性が認められました。約300例を実施し、1例だけ術後の経過途中で感染症が起きましたが、大事にいたり
ませんでした。こういったことは今後も起こりうるのですが、医師の指示通りに薬を点眼し、決められた生活を
送っていれば心配はいらないでしょう。
それにしても、私が慎重派であることに変わりありません。手術は人間のやることですから、何千例何方例とや
るうちには感染症や思いがけない合併症を起こす可能性もあるはずです。その結果、補正するには角膜移植しか
ないという状態になることもあると思うのです。
手術は体の悪いところを取り除くとか、機能的に衰えているところを補助するために行なうものです。近眼はも
ともと病気ではないと私は思っています。病気でないものに手術をして感染症をおこしたりして視力が落ちたり
するのは由々しきことで、一例たりとも起こってはいけないのです。成功率90何%といっている人もいますが、
病気でないものを手術するのなら成功率は100%でないといけません。病気はやむを得ず手術するのですから、
成功率90何%なら立派な成績だと思いますが、病気でないものに手を加えて、結果、視力が落ちるなど機能がか
えって低下したりするのは問題です。
やみくもに近視ならなんでも手術するという態度はよくありません。私はまず、メガネ・コンタクトレンズを試
し、どうしてもだめだったら手術という考え方です。そういう意味で保守的ですね。手術を行なう場合も患者の
適応(体質や職業でメガネやコンタクトレンズが使えない、20歳以上である、手術内容をよく理解している)を
慎重に決めて、完全な状態で手術を行ない、術後の経過を正確に注意深く見守ることが必要です。
治験の結果を受けて、屈折矯正手術をはじめた眼科医が多くなってきました。そこで、数年かけて経過を追い、
屈折矯正手術は本当に必要か、必要ならどういう手術法がいいのか、どういう機械がベストか、の結論を出すた
めのデータセンターを設立する予定です。PRKにしても1~2年では、いい手術かどうかという結果はとても出
ないと思うんです。10年経ったらどうなのか、ケースごとのデータを逐次追っていくことが必要だと思います。
何か起きたらすぐにアラームをならして知らせる、あるいは最善の方法を知らせる、その働きをするのがデータ
センターです。センターをつくるのは眼科医の責任だと思っています。
信頼できる眼科医を選ぶためにもデータセンターを設立したいと思っています。センターにきちんとデータを送
ってくれる眼科医なら安心できるでしょう。手術を受けるなら、まず眼科医かどうかを確認すること、それから
できれば角膜の専門家かどうかを確認したいですね。
医院名にはとらわれないでください。角膜の専門家で屈折矯正に詳しい人が執刀する、患者の適用をふまえての
レーザー手術だったら安心できると思います。
医師の免許さえ持っていれば、他の科の人が手術をしても違法ではありません。でも、専門家でないと、何か起
こったときに取り返しのつかないことになりかねません。万が一のとき、いち早く異変を察知して対応できるよ
うな専門家でないとこわいのです。
今後、手術の安全性がもっと確認できれば適用の範囲は広がって、軽い近視だけどメガネがいやだからという人
も受けられるようになると思います。あと5年もすれば、また変わって来るでしょう。
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